東京地方裁判所 平成6年(ワ)4213号 判決 1995年12月19日
原告
吉田脩二
被告
株式会社山六運輸
ほか二名
主文
一 被告らは、原告に対し、各自、金一〇五九万八五〇六円及びこれらに対する平成五年七月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを五分し、その一を原告の負担とし、その余は被告らの負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 被告らは、原告に対し、各自、一三四九万三一〇三円及びこれに対する平成五年七月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 訴訟費用の被告らの負担及び仮執行宣言
第二事案の概要
一 本件は、交通事故に遭い、店舖兼居宅及び什器備品等を損壊された原告が、自動車の運転者及びその使用者らに対し、損害賠償を請求した事案である。
二 争いのない事実及び証拠上容易に認定できる事実
1 当事者等
(一) 原告は、肩書の住所地に次の建物(以下「本件建物」という。)を所有し、同所において、レストラン「なかさと」(以下「本件レストラン」という。)を経営する者である(甲一六)。
所在 岩井市大字中里字セウシ塚一一〇五番地一一
家屋番号 一一〇五番一一
種類 店舗・居宅
構造 木造スレート葺二階建
床面積 一階 一〇四・五六平方メートル
二階 九四・三九平方メートル
(二) 被告株式会社山六運輸(以下「被告会社」という。)は、貨物運送事業を目的とする会社である。
(三) 被告真中三郎(以下「被告真中」という。)は、被告会社の代表取締役である。
(四) 被告池田勝利(以下「被告池田」という。)は、本件事故当時、被告会社の従業員として、運転業務に従事していた者である。
2 本件交通事故の発生
事故の日時 平成五年七月二二日午前四時四五分ころ
事故の場所 茨城県岩井市大字中里一一〇五番地一一
加害者 被告池田
加害車両 大型貨物自動車(トレーラー。足立一二か四四六二)
事故の態様 被告池田が加害車両を運転中、センターラインを越えて反対車線から道路外に進出し、本件建物を損壊した(甲二一、三三)。
3 責任原因
(一) 被告池田
被告池田は、制限速度を上回る速度で加害車両を運転した過失により、運転を誤り、本件事故を引き起こしたものであるから、民法七〇九条に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。
(二) 被告会社
被告会社は、被告池田の使用者であり、本件事故は被告池田が被告会社の事業の執行につき、引き起こしたものであるから、民法七一五条一項に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。
三 本件の争点
1 被告真中の責任
(一) 原告の主張
被告真中は、被告会社に代わり、同社の運送事業を現実に監督していたものであるから、民法七一五条二項に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。
(二) 被告真中の認否
被告真中が被告会社に代わり同社の運送事業を現に監督していた事実は否認し、同人の責任については争う。
2 損害額
(一) 原告の主張
原告は、本件事故により、本件建物に関して次の損害を受けた。
本件建物及び動産、設備等の修理費用は、いずれも原状回復そのものであり、これにより原告は何ら利益を得るものではないから、右修理費用の全額が本件の損害とみるべきである。
(1) 建物修理費用 二八五万〇〇〇〇円
(2) 建物等片付け費用 二万四六〇〇円
(3) 換気装置修理費用 一五万一一〇〇円
(4) フエンス取付工事費用 二万七〇〇〇円
(5) リフト設置工事費用 九二万七〇〇〇円
(6) 看板取付費用 七二万五一二〇円
(7) ガス設備等工事費用 四二万七八〇〇円
(8) 食器、鍋等購入費用 六一万九九五七円
(9) 冷蔵庫、オーブンレンジ等購入費用 二五〇万七〇二〇円
(10) カラオケ装置、殺虫器、水銀灯等購入費用 八二万五五四五円
(11) 水道工事費用 一万三三五〇円
(12) ゴルフ用具修理費用 一〇万一〇〇〇円
(13) 自動車修理費用 二四万八六一一円
(14) 宴会キヤンセル料 二二万〇〇〇〇円
原告は、本件事故により、予約されていた一一件の宴会をキヤンセルせざるを得なくなり、そのお詫びとして一件当たり二万円を支払つた。右キヤンセル料は、本件事故と相当因果関係のある損害である。
(15) 休業損害 二六二万五〇〇〇円
原告は、本件事故により本件建物が損壊した結果、平成五年七月二二日から同年一〇月二一日までの三か月間、本件レストランの休業を余儀なくされたものであり、右の全期間について本件事故と相当因果関係を有する損害というべく、原告の本件事故前の一か月当たりの売上げは、一七五万円を下ることはなく、その二分の一が利益であるから(一日当たり二万九一六六円)、その間の休業損害は、右金額となる。
(16) 弁護士費用 一二〇万〇〇〇〇円
(二) 被告らの主張
損害額のうち、(2)建物等片付け費用及び(4)リフト設置工事費用については認めるが、その余は争う。
(1) 修理費用等について
原告の損害はいずれも営業用財産に関するものであるから、その算定に当たつては、定額法により経過年数分の一定額を毎年減価償却すべきであり、具体的には、<1>建物については、新築当時の請負工事代金を基礎とし、これに建物全体のうち、破損部分の割合を乗じ、これから法定耐用年数表を基準に減価償却分を控除して破損部分の時価を算出し、右破損部分の時価と修理費のうち、いずれか低い方を損害とし、<2>建物付属設備については、修復工事費用から法定耐用年数を基準に減価償却分を控除して損害を算定し、<3>その他の動産等については、再調達価格を基礎として、法定耐用年数を基準に減価償却分を控除し、右年数を経過したものについては、一〇パーセントの評価をすべきである。
(2) 休業損害について
基礎収入については、原告の本件事故前年の申告所得(青色控除前のもの)に、専従者給与、減価償却費を加えた三七〇万七〇七九円(一日当たり一万〇一五六円)を基礎とすべきである。
休業期間については、被告会社は、本件建物の修理を訴外有限会社取手ハウス(以下「取手ハウス」という。)に依頼し、取手ハウスは、平成五年八月五日から着工し、同月末までに工事を完了する予定でいたところ、原告が同月七日に工事中止要請をし、右工事が中止されたため、工期が延び、その結果、損害が拡大したものであるから、右拡大損害については、被告らに責任はない。したがつて、原告の相当な休業期間は、平成五年七月二二日から同年八月末日までの四一日間とみるべきである。
第三争点に対する判断
一 被告真中の責任について
証人真中透に前記争いのない事実によれば、被告会社は、貨物運送事業を目的とする会社であり、本件事故当時の従業員は約三〇名(うち運転手は約二〇名)であつたところ、被告真中は、同人の子で被告会社の取締役の訴外真中透(以下「訴外透」という。)とともに被告会社の運行管理責任者の地位にあり、運転手の雇い入れ及び教育は主として訴外透がしていたが、被告真中は、被告会社の代表取締役として、被告会社の金銭の管理及び業務全般の最終決定権を有していたことが認められる。
すると、被告真中は、民法七一五条二項の「使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者」に該当することが認められ、他に右認定を覆すに足りる証拠はないから、被告真中は、同条項に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。
二 本件被害状況及び本件事故後の交渉経緯等について
甲一六、一七、一八の1ないし4、二一ないし二七、二九、三〇、三一の1、2、三二の1ないし4、三三ないし三六、乙一、四、証人真中透、原告本人に前記争いのない事実を総合すれば、次の事実が認められる。
1 原告は、昭和六〇年五月本件建物を請負金額一七二二万円で新築し(同年六月一一日所有権保存登記)、本件建物の一階と二階の一部(宴会場)を店舗に、二階の残りを住居として使用し、同年六月から本件事故当時までレストランを営業していた。
本件建物には、本件事故発生前の平成四年五月五日にも乗用車が飛び込む事故があり、ダクト、看板、ガスボンベを壊されたため、原告は、そのころ、ダクトと看板の修理を行い、ガスボンベを交換していた。
2 被告池田は、本件事故当時、加害車両を運転し、本件事故現場付近を時速約八〇キロメートルで進行中、本件事故現場手前の側道から出てきた自動車を避けようとして急ブレーキを踏んだところ、雨で路面が湿潤していたため滑り出し、センターラインを越えて本件建物敷地内に入り、屋外のフエンス、ガスボンベ、看板に衝突し、これを損壊した後、本件建物東側の壁面部分を車体でえぐりながら進行を続け、本件建物南側の鉄柱を倒し、さらに歩道上の電柱に衝突して停止した。本件事故により加害車両は、大破した。
本件事故により、本件建物は通し柱が二本折れ、建物が傾いたほか、一階の厨房部分が損壊し、同所に設置されていた冷蔵庫、調理台、フライヤー、中華レンジ、洋食レンジ、オーブン、リフト、ダクト等が破損したうえ、食器類等にも被害が及んだ。また、原告方敷地内に駐車していた自動車に建物の破片が飛び、屋根が損傷した。
被告は、リフトとガス設備の損壊の事実を争うが、甲五の1、2、九の1、2の1、九の2の2、二一(写真<3>)、二二、二五、二九、三〇、三一の2、原告本人に照らし、採用できない。
3 本件建物の修復のため、被告会社の訴外透は、事故日の平成五年七月二二日染谷建設有限会社(以下「染谷建設」という。)に修理を依頼したところ、染谷建設は、同月二四日とりあえず本件建物にシートを張り、柱三本の応急処置を行つた。これと並行して、訴外透は、損害の調査について任意保険会社の安田火災海上保険株式会社に問い合わせをして、担当者が損害の見積りをする予定でいたが、見積りの結果、一見して被告会社の加入する対物保険の限度額五〇〇万円を上回ることが明らかであつたため、具体的な金額の査定等はなされなかつた。
同月三一日訴外透は、取手ハウスの代表取締役渡邊威夫とともに原告方を訪れ、本件建物の工事の件につき相談した際、建物については取手ハウスが工事費の見積りをする一方、ガス、電気、水道、リフト、厨房器具、看板、食器等については原告が見積りをすることが話し合われた。
取手ハウスは、同年八月二日工事費を二八二万七〇〇〇円とする見積書を被告会社に提出し、被告会社に対し、工事費を二八〇万円、工期を同年八月四日から同月三一日までとする本件建物の建築工事契約書を作成した。
取手ハウスは、同月七日本件建物の工事を開始したが、足場や防護ネット等の仮設工事もせず、いきなり解体工事を始めたうえ、作業後、原告が作業箇所を見たところ、柱が基礎にネジ止めされていないだけでなく、折れた通し柱を下から継ぎ足し、補強金具も用いずに、釘付けしているだけであつたため、原告は、工事の進行に不安を感じ、大久保正男建築士に現場を見てもらい、意見を聞くと、このままでは強度が不足しており、地震が来ても保証はできない旨言われたことから(この点は、翌八日原告方に来た染谷建設の染谷隆建築士も概ね同意見であつた。)、取手ハウスの工事内容にクレームをつけ、電話で翌日以降の工事の中止を要請した。
原告は、同月九日被告会社、被告代理人、取手ハウス等を交えて話し合いをした結果、取手ハウスは、本件建物の工事から手を引くこととなり、今後のことについては、被告会社が原告に連絡することとなつた。
その後、被告会社から原告に対する連絡はなく、原告と被告会社との間で代わりの業者についての話も出なかつたため、原告は、訴外協栄住建有限会社(以下「協栄住建」という。)に本件建物の工事見積りを依頼したところ、同社から原告に対し、同年八月二一日付け見積書が提出され、その見積額は二八八万九二四八円であり、取手ハウスの見積額とも大きな開きはなかつたことから、原告は、そのころ、協栄住建に工事を依頼した。
協栄住建の工事は、同年九月一三日から同年一〇月二一日ころまで行われ、本件レストランは、同月二三日から営業を再開した。協栄住建の工事費用は、二八五万円であつた。
三 損害額について
1 減価償却の可否について
被告は、本件建物及びその他の付属設備、動産等は、いずれも営業用財産であるから、その損害の算定に当たつては、定額法により法定耐用年数を基礎にして、相当額の減価償却をなすべきであると主張する。しかし、たとえ営業用財産であつても、修理により耐用年数が延長され、あるいは、価値の増加により被害者が不当利得を挙げたような場合であれば格別、相当な範囲の修理を施しただけの場合には、原状回復そのものがなされたにすぎないというべきであるから、これについて、改めて経過年数を考慮し、減価償却をなすのは相当でない。そこで、以下、原告が本件事故により施した修理内容について検討する。
2 建物修理費用 二八五万〇〇〇〇円
甲一の1の1、1の2、一の2、原告本人によれば、原告は、本件建物の厨房部分を修理し、その費用として二八五万円を負担したことが認められ、前記二及び争いのない事実記載のとおり、本件建物は、昭和六〇年五月に新築された木造スレート葺店舖兼用住宅であり、本件事故当時、建築後八年を経過していたものであるが、右修理により本件建物の耐用年数が延長され、または原告が不当利得したことを認めるに足りる証拠はないから、建物修理費用は、右金額をもつて相当と認める。
3 建物等片付け費用 二万四六〇〇円
当事者間に争いがない。
4 換気装置修理費用 一五万一一〇〇円
甲三の1、2、三二の1、2、4、原告本人によれば、本件ダクト部分は、本件事故前年にも交通事故の被害を受けて改装したばかりであつたところ、原告は、本件事故による修理費用として、一五万一一〇〇円を負担したことが認められ、前記二の経緯に照らし、原告が不当利得をしたものでないことは明らかであるから、換気装置修理費用は、右金額をもつて相当と認める。
5 フエンス取付工事費用 二万七〇〇〇円
当事者間に争いがない。
6 リフト設置工事費用 九二万七〇〇〇円
甲五の1ないし3、二一、二八ないし三〇、三一の1、2、乙四、原告本人によれば、本件リフト部分の修理に際しては、すでに部材がなく、破損部分を利用して修理するよりも新規に購入した方が安価であり、経済的には全損というべきであつて、原告は、右工事費用として九二万七〇〇〇円を負担したことが認められるから(なお、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はない。)、リフト設置工事費用は右金額をもつて相当と認める。
7 看板取付費用 七二万五一二〇円
甲六の1、2、3の1、2によれば、原告は、本件事故による修理費用として、七二万五一二〇円を負担したことが認められ、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はないから、看板取付費用は、右金額をもつて相当と認める。
8 ガス設備等工事費用 四二万七八〇〇円
甲七の1、2の1、2、七の3によれば、原告は、本件事故による修理費用として、四二万七八〇〇円を負担したことが認められ、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はないから、ガス設備等工事費用は、右金額をもつて相当と認める。
9 食器、鍋等購入費用 六一万九九五七円
甲八の1、2の1、2、八の3の1、2、二五によれば、原告は、本件事故により六一万九九五七円を負担したことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はないから、食器、鍋等購入費用は右金額をもつて相当と認める。
10 冷蔵庫、オーブンレンジ等購入費用 二五〇万七〇二〇円
甲九の1、2の1、2、九の3によれば、原告は、ガスレンジ、オーブン、中華レンジ、調理台、フライヤー等の購入費用等として、二五〇万七〇二〇円を負担したことが認められ、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はないから、右冷蔵庫、オーブンレンジ等購入費用は、右金額をもつて相当と認める。
11 カラオケ装置、殺虫器、水銀灯等購入費用 八二万五五四五円
甲一〇の1、2、3によれば、原告は、営業用カラオケ装置、殺虫器、水銀灯、テレビ付ラジカセ等の購入費用等として、八二万五五四五円を負担したことが認められ、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はないから、右カラオケ装置、殺虫器、水銀灯等購入費用は、右金額をもつて相当と認める。
12 水道工事費用 一万三三五〇円
甲一一の1、2によれば、原告は、水道工事費用として、一万三三五〇円を負担したことが認められ、原告が不当利得をしたことを認めるに足りる証拠はないから、水道工事費用は、右金額をもつて相当と認める。
13 ゴルフ用具修理費用 認められない。
本件事故により、原告が修理費用を負担したことを認めるに足りる証拠はない。
14 自動車修理費用 認められない。
本件事故により、原告が修理費用を負担したことを認めるに足りる証拠はない。
15 宴会キヤンセル料 認められない。
原告は、本件事故により、予約されていた一一件の宴会をキヤンセルし、そのお詫びのため一件当たり二万円(合計二二万円)を支出したというのであるが、原告本人によれば、いずれも予約金を受領していたものでもなく、右キヤンセル料が本件事故による不可欠の出費であることを認めるに足りる証拠はない。
16 休業損害 六〇万〇〇一四円
前記二の事実経過によれば、本件建物の修復工事は、当初一か月で完了し、平成五年八月中には終了するものと見込まれていたところ、原告は、被告会社の依頼した取手ハウスの工事内容が不十分なものであつたため、クレームをつけ、工事の中止を要請したものであり、原告の右認識は、専門家である建築士の意見によつても裏付けられているうえ、取手ハウスの見積り額と原告が依頼した協栄住建の見積り額とは七万円程度の相違があるだけで、大きな開きはなかつたものであるから、本件建物の前記被害状況からすると、原告が要求し、依頼した工事は、適正な内容であつたものと認められる。そうすると、取手ハウスが本件建物修復工事を中止したため、工事期間が伸びた分についても、本件事故と相当因果関係のある損害というべきであるから、原告の相当な休業期間は、本件事故日の平成五年七月二二日から同年一〇月二一日までの三か月間と認める。
そして、原告本人によれば、原告は、本件事故当時、妻と二人で本件レストランを営業していたところ、本件事故当時、一か月に一七五万円の収入を得ていたと述べるが、甲一九によれば、原告の本件事故前年の平成四年分青色申告による売上額一九八九万円から売上原価九九四万五五九〇円と経費七五四万四三五三円を控除した残額二四〇万〇〇五七円の営業利益があつたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はないから、その間の休業損害は、次式のとおり六〇万〇〇一四円となる(一円未満切捨て)。
二四〇万〇〇五七円÷一二月×三月=六〇万〇〇一四円
17 右合計額 九六九万八五〇六円
四 弁護士費用 九〇万〇〇〇〇円
本件事案の内容、審理経過及び認容額その他諸般の事情を斟酌すると、原告の本件訴訟追行に要した弁護士費用は、九〇万円と認めるのが相当である。
第四結語
以上によれば、原告の本件請求は、被告ら各自につき、一〇五九万八五〇六円及びこれらに対する本件事故の日以後である平成五年七月二三日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を認める限度で理由があるが、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項を、それぞれ適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 河田泰常)